自転車のフレームのはめ込む方式と溶接する方式のメリットとデメリットは何ですか? - Yahoo!知恵袋
kenkenkent1971さん
恐らく『はめ込む方式』というのは、ラグ接合の事だと思いますが、一般的なママチャリなどに使われる鉄系素材のフレームの場合は、ラグ接合であっても、内部では溶接(正確にはロウ付け)が行なわれています。
自転車のフレームの溶接には、『ロウ付け』という方法が使われています。
これは、真鍮などの合金でできた『ロウ材』というのを溶かして、鉄のパイプを接合する方式です。
これは、鉄よりも融点の低いロウ材を使う事で、鉄パイプ本体を溶かさずに接合できるからです。
高級なフレームだと、さらに融点の低い、銀ロウを使ったりもします。
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フレームを見て頂ければ判ると思いますが、パイプとパイプが接合する構造になっています。
これを直接溶接するには、パイプとパイプが密着していなければなりません。
つまり、横から接合されるパイプは、接合するパイプと同じ直径で、狙った角度ピッタリにザグっていないと、設計した角度や寸法が出ない、という事になります。
これが、意外と手間のかかる作業で、昔の手作業のフレーム工場では、大量生産には不向きだったのです。
ラグは、これを隠す為に生まれたようなもので、フレームの生産効率を上げる為の物です。
接合部をラグで覆ってしまえば、パイプ同士がわずかに離れていても外からは見えませんし、ラグの面積の分、溶接面積を増やす事ができますので、ちょっとだけ安心感もあります。
また、ラグとパイプも、そんなにキッチリと密着している訳ではありませんので、パイプを差し込む角度をズラす事で、フレームの角度調整などもできます。
ロードバイクなど、高級なスポーツサイクルの場合、フレーム工房がラグの形状などに工夫を凝らしていて、塗装を剥がしていても『このラグの形は◯◯のフレームだ』と判るような物もあります。
また、単純な溶接だと、鉄のパイプ自体を溶かして溶接するような事になってしまいますので、あまり薄いパイプを使うとパイプ自体が溶けて穴が空いてしまいそうですし・・・。
母材と同じ素材の溶接棒などで肉を盛っているとは思いますが、パイプ自体にも融点に近い熱を加える事になります。
最近は、TIG溶接といって、溶接部に不活性ガスを吹き付けながら行ない、溶接部が酸素に触れない状態で溶接する方法が主流になっていますので、問題がクリアになったのかも知れませんね。
この辺は、私なんかよりも溶接の事に詳しい方がいらっしゃると思います。
さらに、パイプのカットやザグりなども、コンピューター制御の自動化で、均一に安定したサイズができるよう� �なったのもあるかも知れません。
ちなみに、ロウ付けのフレームでも、ラグを用いない『ラグレス』というのもあります。
これは、キッチリとザグったパイプ同士の接合部に直接ロウ材を流して、それだけで接合する方式で、外観的にも最もシンプルで、なおかつ軽量なフレームになります。
実際には、この程度のロウ付け面積だけで十分な強度は出せる訳です。
アルミのフレームで『アルミパイプ+アルミラグ』という物だと、ロウ接は使わずに(多分、アルミに使えるロウ材が無いのではないかと)、接着剤での接合になります。
アルミの場合は、TIG溶接での溶接フレームも多いです。
カーボンフレームの場合、溶接ができませんので、『ラグ接着』か『チューブtoチューブ』か『モノコック』か、あるいはその組合わせか、という事になります。
『ラグ接着』は、上記のラグ接合で、アルミと同じように接着剤で接合します。
カーボンフレームが登場した頃はカーボンパイプ+アルミラグと言う組合わせが一般的でしたが、最近ではラグもカーボン化されている物が多くなっています(アルミラグは低価格帯の車体に使われます)� �
『チューブtoチューブ』は、上記のラグレスのような感じですね。
ザグったパイプ同士を密着させて、その上から、さらにカーボンの繊維や布を巻き付けて固定する方式です。
『モノコック』は、フレーム全体の形になった『型』にカーボン繊維やカーボン布を貼り込んでいって、フレームの形にする物です。
本来は完全に一体成形でないといけないのですが、左右を別々に作ってから張り合わせる物(通称『モナカ』)などもモノコックと呼ばれます。
モノコックの弱点は、フレームの各サイズごとに型を作り分けなければならない点と、サイズの細かい変更ができない点です。
ですので、高級なカーボンフレームで、選手のオーダーでジオメトリー変更に対応させるモデルなどは、ラグ接着かチューブtoチューブで作られている事が多いのです。
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